日本歯周病学会会誌
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若年層にみられる重度歯周炎の病理病態解析
岡田 宏島内 英俊葛西 康宏木田 友信恵比須 繁之
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1986 年 28 巻 1 号 p. 308-318

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抄録

18~26歳の重度歯周炎患者8名 (広汎型4例, 限局型4例-ただしincisor/molar以外の歯にも罹患している) の病態を, 臨床的, 免疫病理学的に検討した。末梢血液検査の結果, 全症例に血清免疫グロブリン値の軽度の異常と, 1例に高いASLO値を認めた。歯周治療を行うことにより, ASLO値は正常に復したが, 血清免疫グロブリン値は正常範囲に回復したものと, 依然異常値のままのものの2群が存在した。広汎型2例, 限局型1例の病変部歯肉組織中には多数の免疫グロブリン保有細胞が認められ, その大部分がIgG保有細胞で, 次いでIgA保有細胞が多く, IgM保有細胞はわずかであった。形質細胞とリンパ球数の比率は, 限局型で3: 2であったが, 広汎型になると4: 1と形質細胞数が著明に増加していた。限局型3例の病変部歯肉組織中のTリンパ球サブセットを検索した結果, OKT4+およびOKT8+Tリンパ球の検出率は, 成人型歯周炎患者における私達の報告と比べて差がなかったが, OKIa1+Tリンパ球の比率の低下が認められた。

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