日本歯周病学会会誌
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Actinobacillus actinomycetemcomitansの免疫生物学的活性に関する研究
リポ多糖体, 全菌体抽出物, および菌体外産物の化学組成と免疫生物学的活性について
西原 達次
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1986 年 28 巻 1 号 p. 56-78

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抄録

Actinobacillus actinomycetemcomitans ATCC 29523株, Y4株, SUNYaB67株を用い, リポ多糖体 (LPS), 全菌体抽出物, 菌体外産物を調製し, 免疫生物学的活性に関し詳細に検索した。実験にはマウスリンパ系細胞を用い, マイトジェン活性, 多クローン性B細胞活性化作用 (PBA活性), アジュバント活性を測定した。また, マウス腹腔マクロファージを用い, インターロイキン1産生誘導能を調べた。その結果, LPSはマイトジェン活性, PBA活性, アジュバント活性を有していた。一方, 全菌体抽出物と菌体外産物はマイトジェン活性を示したが, 両標品ともPBA活性は弱くアジュバント活性は認められなかった。IL-1産生誘導能は全標品に認められた。以上, LPSはB細胞の分裂を惹起し, 抗体産生細胞を誘導し, 免疫増強アジュバント活性を有していた。歯周炎に特徴的な形質細胞の浸潤増殖に本菌のLPSが深く関与している可能性が示唆された。

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