日本歯周病学会会誌
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Fibronectinによるプラーク・歯石の形成機序
第8報Fibronectinによる歯垢由来細菌の凝集及びHydroxyapatiteへの吸着に及ぼす影響
田島 一範山中 武志土居 誠司森 哲彦古橋 達金久 純也竹内 宏佐藤 勝
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1988 年 30 巻 1 号 p. 114-122

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抄録
ペリクルおよび歯垢形成におけるフィブロネクチン (FN) の役割を明らかにするために, FNの口腔内細菌の凝集とハイドロキシアパタイト (HAp) への吸着に及ぼす影響について検索した。すなわち, 好気的又は嫌気的に培養した歯垢細菌をヒト血漿FN溶液中に懸濁させ, 異なった菌濃度, FN濃度での凝集程度を, および同様の系にHAp粉末を混ぜ, HApへの菌の吸着程度を調べた。その結果, 菌濃度とは無関係にFNにより凝集が促進され, そのピークは, 好気性サンプルでは3×23μg/ml, 嫌気性サンプルでは3×22μg/mlのFN濃度にあり, それ以下でも, 以上でも凝集は弱くなる傾向を示した。一方, HApへの菌の吸着もFNにより促進され, 好気性サンプルを用いた場合, ピークは3×23μg/mlFN濃度にあり, 嫌気性サンプルでは3×22μg/mlFN濃度にあった。以上の結果から, FNはCa++反応性, 細菌凝集性唾液タンパクと同様に, ペリクルおよび歯垢形成に直接関与していることが強く示唆された。
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