日本歯周病学会会誌
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歯周ポケット滲出液中のpHに関する研究
PHメーターの検討およびその測定値と臨床所見, 細菌叢との関係
藤川 謙次沼崎 光小林 雅実菅野 直之戸村 真一村井 正大
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1989 年 31 巻 1 号 p. 241-248

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抄録
歯周ポケット滲出液中のpHを直接口腔内で測定するために考案したキャピラリー付きpHメーターを用いpH値の正確性および再現性を評価し, この装置を用いて軽度から重度歯周疾患に罹患している合計34名の患者の滲出液中のpRの測定を行った。さらに被験部位の細菌叢を位相差顕微鏡で観察し, 形態学的に分類された各種細菌の構成比率を求め, 滲出液中のpHおよび各臨床所見との関連を検討した。その結果, 考案したキャピラリーを使用して滲出液中のpHを直接測定した値は, 測定誤差が小さく臨床応用が可能な装置であることがわかった。歯周ポケットの深さの増大や歯周組織の炎症の増悪に伴い滲出液中のpHは低下する傾向が認められた。細菌学的検討では球状菌の構成比率と滲出液中のpHとは統計学的に有意な正の相関を認め, 運動性菌の構成比率とは逆に負の相関, すなわち歯周疾患の原因菌と報告されている運動性菌の増加にともない, 滲出液のpHは酸性に傾く傾向が認められた。
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