日本歯周病学会会誌
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超音波断層像の歯周組織診査への応用
第一報診査方法の規格化について
大嶋 清秀
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1989 年 31 巻 1 号 p. 235-240

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抄録
近年, Bモード法表示による超音波診断装置を用いた歯周組織の診査が行なわれており, その有用性が確かめられている。しかし, 超音波断層法には, 診査部位を厳密に確定できないという欠点があった。
そこで, 歯周ポケットにポケット探針を挿入したときの超音波断層像には多重反射によるエコーが現われ, これが, 超音波断層法における基準点となるのではないかと考え, これについて検索した。さらに, ブタ下顎を用いて, ノギスによる実測値と超音波断層法による測定値との比較を行なった。
その結果, 超音波ビームとポケット探針の位置関係について1) 水平的位置変化に関しては0.7mm以上で, 2) 水平的角度変化に関しては5度以上で, 3) 垂直的角度変化に関しては25度以上で画像から多重反射によるエコーは消失した。ブタを用いた実験の結果, 超音波断層法による測定値と歯肉剥離後のノギスによる実測値との差は, 0.21 mm以下であった。
以上ことから, 超音波診断装置による歯周組織診査において, 歯肉溝および歯周ポケットに挿入したポケット探針によって診査部位を規格できることが示された。
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