日本歯周病学会会誌
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歯周病の診断に関する細菌学的研究
神山 章
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1989 年 31 巻 2 号 p. 360-379

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抄録

歯周病における診断指標を探求する目的で, 歯周炎患者の初期治療前後における歯肉縁下プラーク甲の6橦類の歯周病原性細菌の検出とそれらに対する血清IgG抗体価の変動を調べた。臨床的に炎症程度が高いと判断された部位のプラーク中にはBactmides gingivalis (Bg) が高い比率で存在していた。初診時に約80%の歯周ポケットから検出されたBgやBacteroides internzedius (Bi) は, 初期治療によって検出率および検出部位率が有意に減少した。そして, 抗Bg抗体価および抗Bi抗体価は, 初期治療後には初診時と比較して有意に減少した。さらに初期治療に対する臨床指数の改善度によって推定した疾病活性度と細菌検出率との関係を検討した結果, 改善度の高い部位では低い部位よりも, 初期治療後のBgの検出率が有意に低かった。以上より, 歯周治療に際してプラーク中のBgの検出率と抗Bg抗体価が診断指標の一つとなる可能性が示唆された。

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