日本歯周病学会会誌
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Streptococcus sanguisの刺激によるヒト末梢血白血球の化学発光および貪食能に関する研究
小林 則之鴨井 久一
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1989 年 31 巻 2 号 p. 380-402

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抄録

口腔常在微生物の歯肉の炎症における役割を検討する目的で, 歯肉縁上プラークより分離, 純培養したStreptococcus sanguisの3株と, 臨床的に健康歯肉を有する被験者 (5名) の末梢血多形核白血球におけるルミノール依存性化学発光および同被験者の末梢血白血球による貪食能を調べた。
その結果, 血漿を除去した白血球で化学発光を起こしたり貪食される供試菌株や, 化学発光, 貪食が見られない供試菌株があった。非働化血清を添加した白血球では, 化学発光, 貪食が増加する供試菌株や, 化学発光, 貪食が見られない菌株があった。血清を添加した白血球では, 3株とも化学発光は増加したが, 末梢血で貪食を観察すると貪食されない供試菌株があった。
以上のように, 臨床的に健康歯肉を有する者より分離された口腔常在微生物の一種であるStreptococcus sangnisでも宿主に抗体を産生させたり, 補体を活性化させたりしていることが示唆された。

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