日本歯周病学会会誌
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歯周炎患者多形核白血球の貪食能, 細胞内殺菌能, ならびにインターロイキン1産生能
米村 隆司
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1989 年 31 巻 2 号 p. 403-423

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抄録

歯周炎における多形核白血球 (PMNL) の役割を明らかにする目的で, 歯周炎患者のPMNLを対象に, フローサイトメトリーを用いて貪食能および過酸化水素 (H2O2) 産生能について, また, モノクローナル抗体を応用したELISA法によってIL-1産生能について検討を行った。その結果, 若年層の患者において末梢血PMNLの貪食能の低下が約半数の症例で認められ, また, この低下は歯周治療により改善を認めなかったことから発症機序との関連性が示唆された。末梢血PMNLのH2O2産生能は歯周炎の重症度に相関して亢進しており, 歯周治療に伴い健常者群の値に近づくことから局所の病状との関連性が示唆された。歯周炎患者の歯肉溝滲出液中PMNLにおいて特にIL-1β の高い活性が認められ, また, ある種の歯周病関連細菌の全菌体刺激により末梢血PMNLのIL-1β 産生が誘導された。以上のことから, PMNLが種々の機構を介して歯周炎の発症や進行に深く関与している可能性が示唆された。

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