日本歯周病学会会誌
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Beige (Chediak-Higashi) マウスの歯周組織および白血球機能についての研究
粉末食飼育の影響
岩川 吉伸佐藤 巌雄
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1989 年 31 巻 2 号 p. 424-433

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抄録

ヒトにおけるChediak-Higashi (C-H) 症候群は, 特に口腔領域においては, 著明な歯肉の発赤や腫脹, 歯槽骨の吸収による歯の動揺や移動などを主症状とする歯周炎の併発が報告されている。今回著者らは, 本症候群のモデル疾患動物であるbeigeマウスを用い, いわゆる「歯周症」の発症機序の一端を解明すべく, 辺縁歯肉に影響を及ぼしやすい飼料, 特にその材型の差による影響を介して実験を行った。
結果, beigeマウスおよびheteroマウスを24週間にわたって固型食飼育した実験群では, 歯周組織に著明な組織学的変化は認められなかった。一方, 8週間の固型食飼育後4週間の粉末食飼育を行った実験群では, beigeマウスの歯根中央部付近に歯槽骨の窩状の吸収像が認められた。しかしheteroマウスでは変化はほとんど認められなかった。またbeigeマウスの好中球, マクロファージおよびリンパ球の細胞活性は, heteroマウスに比較しその貧食殺菌能, 走化能およびDNA合成能のいずれにも著明な低下が認められた。この結果から, beigeマウスは粉末食という非常にマイナーな条件変化に対し歯槽骨吸収が認められたことは, 生体防御に関与する白血球の検機能低下と歯周組織破壊, 特に歯槽骨吸収との関連性が示唆された。

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