日本歯周病学会会誌
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ラット辺縁性歯周炎における歯肉コラーゲン線維の動態に関する実験病理学的研究
Picrosirius-polarization methodによるI型コラーゲンとIII型コラーゲンの改造について
鎌田 真理子鴨井 久一
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1989 年 31 巻 2 号 p. 491-520

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抄録

歯肉の炎症性破壊におけるI型コラーゲンとIII型コラーゲンの動態を明らかにする目的で, 歯石形成食RC 16をプラーク付着因子とし, 高蔗糖含有飼料Diet 2000と糞食によりラット臼歯部に実験的辺縁性歯周炎を惹起させた。その歯間乳頭部の所見を64週まで経週的に, picrosirius-polarization methodならびに透過型電顕により病理組織学的に検索した。その結果, 64週後では上皮付着部は根尖側1/2にまで移動し, 形質細胞を主体とする高度の細胞浸潤が観察された。線維破壊部位では, I型コラーゲンの破壊減少に伴い, III型コラーゲンの相対的増加と微細線維の出現を認めた。また, 病巣から離れた部位では, 新生III型コラーゲンの絶対的増加と幼若な新生コラーゲン線維を思わせる微細線維の出現を認めた。以上により炎症の進行過程においては, 歯肉のコラーゲン線維では型別変化を伴い, 均衡をとりながらその破壊と新生が移行している事が示唆された。

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