日本歯周病学会会誌
Online ISSN : 1880-408X
Print ISSN : 0385-0110
ISSN-L : 0385-0110
ラット歯周組織の創傷治癒過程に関する免疫組織学的研究
歯肉剥離掻爬術後のfibronectinとlamininの局在
仲谷 寛鴨井 久一
著者情報
ジャーナル フリー

1989 年 31 巻 2 号 p. 462-490

詳細
抄録

歯肉剥離掻爬術後の創傷治癒過程におけるfibronectinとlamininの動態を検索した。ラット上顎口蓋側の歯肉剥離掻爬を行い, 術後12時間, 1, 3, 5, 7, 14, 28, 56日後に屠殺し, 病理組織学的に, またfibronectinとlamininの局在を間接螢光抗体法にて観察した。その結果, (1) 肉芽組織に一致してfibronectin強陽性所見が認められた。 (2) 根面部分においては, 結合織線維が根面に対し平行に赤行する場合は根面にそってfibronectinの陽性所見が観察されたが, 再付着所見が認められるときには根面にfibronectinは観察されなかった。 (3) 再生する上皮細胞の先端付近の基底膜相当部には, lamininの局在は観察されなかった。以上のことから, fibronectinは結合組織の再生, さらに線維性付着の再生に際してprovisional matrixとしての役割を果たしていることが, またlamininは上皮結合組織間の維持, 安定に役割を果たしていることが示唆された。

著者関連情報
© 特定非営利活動法人日本歯周病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top