日本歯周病学会会誌
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歯肉溝滲出液による歯周疾患の診査に関する研究
静電容量と臨床所見の関連について
若尾 徳男吉永 英司沼部 幸博鴨井 久一
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1989 年 31 巻 2 号 p. 573-582

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抄録

歯肉溝滲出液の静電容量を測定し, 歯周疾患の診査を行う目的で, 歯肉溝に挿入可能なセンサを有する測定器を製作した。
歯周疾患に罹患した患者を被検者として, パーソナルコンピュータで測定器を制御し, 0.1秒に1回, データを採取した結果, 測定部位の歯肉炎指数が高いほど測定値が大きく, 測定値の増加傾向も長く続くことが示され, 安定性から判断し, 一定時間経過後の測定値で滲出液量を表現する場合には10秒間が望ましいことが示された。
10秒間に滲出した歯肉溝滲出液の静電容量と臨床所見の相関を500部位について測定し検討した結果, 歯肉炎指数, 歯垢指数, 歯肉出血指数, 歯肉溝の深さの順で相関が強く, 本測定法は歯肉の初期の炎症を検知することに有効であることが示唆された。

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