1989 年 31 巻 2 号 p. 593-607
本研究はX線写真上の残存歯槽骨レベルと, 実際歯根に付着している歯根膜面積の関係を明らかにし, X線写真像から根表面に付着した歯根膜線維付着部面積を推測する可能性を検討するために, 実験を行った。
実験にはhuman skullより合計34歯を, そして重度歯周疾患に罹患していると診断された患者60人 (165歯) を対象とした。各々Xeroraradiograph撮影を行い, そしてXeroradiograph上での残存歯槽骨におおわれた歯根面積の割合を表すα値を求めた。
抜去した歯より, 実際歯根表面に付着していた歯根膜線維の割合を表すβ値を求めた。α値とβ値を検討した結果, Xeroradiograph上の歯槽骨におおわれた歯根面積の割合 (α値) と, 実際歯根表面に付着した歯根膜線維付着部面積の割合 (β値) の間には, 高い相関関係が存在し, α値よりβ値を算出する信頼性の高い回帰方程式が求められた。