日本歯周病学会会誌
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結晶化ガラス (CaO-P2O5-MgO-SiO2-CaF系) に関する基礎研究
2. 培養細胞と結晶化ガラス界面の透過型電子顕微鏡的観察
原 宜興吉本 由紀子安部 達也前田 勝正赤峰 昭文青野 正男
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1989 年 31 巻 2 号 p. 651-657

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抄録

生体活性新素材であるCaO-P2O5-MgO-SiO2-CaF系結晶化ガラスの細胞障害性の有無と, 各種細胞の付着を観察するために, ヒト線維肉腫由来のHT-1080, ヒト歯肉癌由来のCa9-22, ヒト骨肉腫由来のNYおよびマウス骨芽細胞由来のMC3T3-E1の4種類の細胞を, substrateとして実験群には結晶化ガラスを対照群にはポリスチレン・カバースリップを用いて培養し, その界面を超微形態的に観察した。その結果, 4種類の細胞共に細胞死や細胞障害を表す所見はみられなかった。また, Ca9/22の実験群および対照群, NYの実験群において, CaO-P2O5-MgO-SiO2-CaF系結晶化ガラスとの界面に連続する基底板様の構造物が観察された。さらにMC3T3-E1の対照群および実験群では, 一部に不連続ではあるが観察された。一方HT -1080には, 明瞭な構造物は認めなかった。これらの所見を参考にすると, 超微形態的にみてもCaO-P205-MgO-SiO2-CaF系結晶化ガラスの生体親和性は良好で, その様式は異なっても, 本素材結晶化ガラスと各種細胞の付着も期待しうるのではないかと考えられた。

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