1989 年 31 巻 2 号 p. 667-674
イヌの歯肉溝に外科用縫合糸を結紮して実験的歯周炎を惹起し, 結紮0日, 7日, 21日, 60日, 90日目の歯肉をそれぞれ採取し, グリコサミノグリカン (GAG) の直接的な前駆物質である3H-グルコサミンをトレーサーとしてin vitroで歯肉組織を培養し, オートラジオグラム標本を作製後, 3H-グルコサミンの取り込みを示す銀粒子の局在性を光顕的に検索した。その結果, 銀粒子は各時期とも, 口腔上皮, 歯肉溝上皮, 接合上皮すべてにおいて上皮に多数認められ, その局在性は主として細胞間隙に存在していたが結合組織では微量であった。以上のことから, 上皮は結合組織に比して3H-グルコサミンのGAGへの取り込みが高く上皮のGAGは結合組織のそれよりも代謝回転が著しく速いことが示唆された。