集団を対象とした歯科疾患, 特に歯周疾患の予防と治療を目的に, パン工場従業員473名を対象に集団検診, 集団治療を行った。CPITNによりスクリーニングされた有疾患者228名にプライマリーケア, アンケート調査, 診断指導書の配布などの集団治療を実施した結果, 137名が9ヵ月後の再評価検査まで治療を継続した。
全対象者473名中, 100%の患者で何らかの歯周治療が必要と判定された。喪失歯数とウ蝕歯数は40歳代から急激な増加を示し, 歯周疾患は20歳代後半と50歳代前半に有病者の増加する傾向が見られた。治療対象者に行った問診, 精密検査では, CPITN個人コードとブラッシング習慣, 歯肉出血の自覚, PMAindex, 歯周ポケット値との間に正の相関が認められた。検診終了時には, ブラッシング習慣, PCR値の改善, 歯周疾患に対する認識の向上が認められ, その傾向はCPITN個人コードの高い群で著明だった。