日本歯周病学会会誌
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イヌ歯槽骨欠損部への混合骨材移植による創傷治癒に関する実験病理組織学的研究
特に人工骨材料と新鮮自家骨の混合比率について
松本 恭宜
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1990 年 32 巻 2 号 p. 508-533

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抄録

移植用混合骨材としてHydroxyapatiteと自家骨の有効な混合比率を検索する目的で本実験を行なった。実験IではイヌのP3,P4 を抜歯8週後, 同部位下顎体に骨欠損部を作製, 各種割合の混合骨材を填塞した。術後3, 6, 12週の病理組織切片標本を作製し, 観察の結果, 混合比率 (HAP: 自家骨) が1: 1あるいは3: 1において同様な骨欠損部の回復を生じ, 3: 1は自家骨量が少なくとも有効な移植効果を示した。実験IIでは, M1近心部に機械的に3壁性骨欠損を形成し, 歯頸部に矯正用結紮線を結紮, その後絹布を根面に挿入して汚染した根面を有する骨欠損を作製した。この部に新鮮自家骨のみ, Hydroxyapatiteのみ, 混合骨材 (3: 1) の3群を設定し, 填塞後1, 2, 3, 4, 8週経過後に屠殺, 病理組織学的に検索した結果, 混合骨材 (3: 1) において歯槽骨の新生のみならず再生白亜質及び歯根膜組織の再生が顕著に認められた。

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