2018 年 46 巻 2 号 p. 85-94
重症筋無力症 (myasthenia gravis: MG) での興奮収縮連関の障害についてはいくつかの報告があるが, 簡便な検査法がなかったために注目されてこなかった。しかし加速度センサーを用いることによって, 複合筋活動電位と運動開始の潜時差から興奮収縮連関時間 (ECCT) が測定できるようになり, また最大加速度は最大単収縮力として, 比較的容易に興奮収縮連関を評価できるようになった。その結果MGにおいて, 1) 咬筋疲労には終板伝達障害と興奮収縮連関障害が独立して関与していること, 2) 抗リアノジン受容体抗体が興奮収縮連関障害に関与すること, 3) タクロリムスの内服により興奮収縮連関障害が早期から改善すること, 4) post-tetanic potentiationが障害されていること, 5) 咬筋冷却による筋力改善には, 終板伝達と興奮収縮連関の改善が関与していることが明らかになった。