日本歯周病学会会誌
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ソフタッチ®A貼付にともなうラット口蓋粘膜創傷治癒過程の組織学的検討
松浦 昌宏渡邊 茂之嬉野 美和子中垣 昌樹長谷川 健二杉原 邦夫高田 隆二階 宏昌
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1990 年 32 巻 2 号 p. 652-659

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抄録
臨床研究において外傷, アフタ性口内炎等に伴う口腔粘膜実質欠損の治癒に有効性が示されている口腔創傷被覆保護材ソフタッチ ®の 作用機序を明らかにする目的で, ラット口蓋粘膜に創傷を作成し, その治癒過程におけるソフタッチ ® の 作用を組織計測ならびに病理組織所見に基づいて検討した。実験群では創傷作成後直ちにソフタッチ ® を 貼付し, 麻酔下で8時間維持した後, 自然脱落させた。肉眼的観察により麻酔期間中のソフタッチ ® の貼付状態は良好であることが確認された。組織計測により, 72時間後において, 実験群では創面への再生粘膜上皮の伸展および角化扁平上皮の再建が有意に促進されていることが示された。組織学的にも, 実験群では, 8時間後において, 創面のフィブリンマトリックス層がよく保持され, 創面への口腔細菌の付着も阻止されていた。本実験結果より, ソフタッチ ®は), 創面の環境要因を良好に保つことにより, 口腔粘膜上皮の再生を促進するものと考えられる。
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