日本歯周病学会会誌
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歯周病の進行におけるインターロイキン6の様態に関する研究
高橋 慶壮
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1992 年 34 巻 2 号 p. 286-300

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抄録

歯周病へのインターロイキン6 (IL-6) の関わりを評価することを目的として, 44名の歯周病患者および25名の健常者について, 末梢血単核球のIL-6産生能, 血清IL-6活性, 歯肉組織のIL-6mRNAおよびIL-6レセプターmRNA発現, さらにIL-6産生細胞を調べた。
歯周病患者の末梢血単核球IL-6産生能および血清IL-6活性は個体差が大きく, 健常者のそれらに差がなかった。しかし, 若年性歯周炎患者の血清IL-6活性は有意に低かった。あらゆる病型の歯周炎歯肉 (17個) からIL-6 mRNAおよびIL-6レセプターmRNAを検出した。検出量は炎症の程度によって異なり, 同一患者でも採取部位によって異なる。また, 健康歯肉ではそれらを検出し得ないこともあった。末梢血レベルの所見と炎症歯肉での所見は全く相関しなかった。歯周炎組織のIL-6産生細胞は, 血管内皮細胞, 線維芽細胞およびマクロファージであった。本研究から, 歯周病の病理はIL-6の様態を含めたサイトカインネットワークの関連から捉えられなければならないことが示唆された。

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