抄録
本研究では, フラップ手術後の塩酸脱灰処理歯根面に対する結合組織性再付着の様相について組織学的に検討した。
実験には, 雑種成犬2頭とビーグル犬1頭の小臼歯部とその頬側歯周組織を用いた。フラップ手術では, セメントエナメル境から約4mmの骨を削除し, セメント質除去により裸出させた象牙質面の根尖側半分に0.3N塩酸を5分塗布した。術後2および4週経過時に試料を摘出して, 固定, 脱灰, パラフィン包埋後, 光顕により観察した。
その結果, (1) 塩酸処理群では, 未処理群に比べて再生上皮の下方増殖が少ない傾向を示した。 (2) 塩 酸処理群の結合組織性再付着量ならびに新生セメント質量は, 術後2, 4週のいずれも未処理群に比べて大であった。本研究により, 塩酸脱灰処理により象牙質面に対する新生セメント質形成が促進される可能性が示唆された。