日本歯周病学会会誌
Online ISSN : 1880-408X
Print ISSN : 0385-0110
ISSN-L : 0385-0110
コラーゲン含有キトサン膜の歯周組織内の吸収過程に関する研究
鴨井 久一青木 護浅木 信安浅木 英理沼部 幸博
著者情報
ジャーナル フリー

1992 年 34 巻 4 号 p. 799-809

詳細
抄録

生体親和性の優れたアテロコラーゲンおよび組織内吸収が緩やかで, また創傷治癒促進作用があるキトサンを用いて, GTR法の吸収性膜を開発する目的で本実験を行った。A. (キトサン: コラーゲン7: 3) B. (5: 5) の2種類の複合膜 (A, B, -CSK膜) およびキトサン100%の膜 (K-SK膜) を作製して実験に用いた。それらの歯周組織内における, 吸収過程・生体親和性・その混合比の差による生体内溶解時期の違いを明らかにするためにウイスター系雄性ラットに実験的フラップ手術を行い, 各膜を挿入し, 術後1, 3, 5, 7, 14日目に病理組織学的観察を行った。その結果, キトサンの含有量が多い膜ほど著しい炎症性細胞浸潤が術後早期に認められた。しかしキトサン含有量が多いほど膜周囲の結合組織は成熟を促進し, また吸収が遅延する傾向が認められ, 混合比を変えることにより膜の溶解時期を調節できる可能性が示唆された。

著者関連情報
© 特定非営利活動法人日本歯周病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top