1992 年 34 巻 4 号 p. 820-828
本研究では工場従業員を対象とし, 歯周疾患迅速診断テスト (Perioscantr05) の結果と特定歯面の歯周組織の状態を比較し, 集団検診における有用性を検討した。上顎右側および下顎左側の第一大臼歯頬舌面のprobing depth, bleeding on probing, プラーク・歯石の付着状態について診査後, 診査歯面より縁下プラークを採取しBANA加水分解酵素活性をBANAテストを用いて評価した。主な結果は以下の通りである。1. テスト陽性歯面率は73. 8%と高い値を示した。2. テスト結果と臨床所見との間には有意な関連性が認められた。しかし, テストの感度は比較的高い値であったが, 特異度は低く, 集団スクリーニングのためには特異度ならびにサンプリングテクニックを改善する必要性が示唆された。