抄録
本研究ではBacteroides forsythus (B. forsythus) の歯周疾患における病因としての役割を検討するために, 細菌培養法とDNAプローブ法を用いて健常者, 成人性歯周炎, 早期発症型歯周炎患者の歯肉縁下プラーク中から B. forsythus の検出および同定を試みた。培養法ではTS血液寒天培地にN-アセチルムラミン酸を1 mg/lの濃度で加えることにより標準株および臨床株の培養, 継代が容易になった。DNAプローブ法はBecton Dickinson社製のAffirm DP ® を用いてB. forsythusの標準株と細菌培養法で得た臨床株で行い, 105個以上で検出可能であった。細菌培養法とDNAプローブ法でB. forsythusの検出頻度を明らかにした後, 歯周疾患患者から得た歯肉縁下プラークサンプル中のB. forsythusの検出割合との関連性について検索を行った。その結果B. forsythusは健常者ではほとんど検出されず, 歯周炎患者群から高率に検出された。その検出頻度や総菌数中に占める割合がポケットの深さやポケット測定時の出血, 骨吸収と相関が認められたことよりB. forsythusが歯周疾患に深く関与していることが示唆された。