抄録
本研究の目的は, 骨再生誘導法 (GBR) における骨形成過程の特性について検索することである。実験には雑種成犬24頭を用いた。下顎第1前臼歯から第4前臼歯まで抜歯し, 4カ月後, 無歯顎部位に外科的に頬側裂開型骨欠損を作製した。実験群の各骨欠損部にe-PTFE膜を被覆し, ミニスクリューおよびシアノアクリレート系接着剤でe-PTFE膜を固定した。対照群の骨欠損部はe-PTFE膜で被覆しなかった。観察期間は術後1, 2, 4, 8, 16週とし, 組織学的検索および組織計測を行った。組織学的検索としてヘマトキシリン・エオジン重染色による観察およびアゾ色素法によるアルカリフォスファターゼ (ALP) 活性の局在について検索した。
その結果, 術後2週の対照群では, ALP活性を示す細胞は骨欠損底部の新生骨梁周囲に限局していたが, 実験群では新生骨梁周囲, さらに肉芽組織内の紡錘形細胞にも認められ, e-PTFE膜で被覆された骨欠損内全域に観察されだO組織計測について, 相対類骨量および分画形成面率は, 術後4週で実験群は対照群に比較して高く, 有意差が認められた (p<0.05) 。骨形成量は術後4, 8, 16週において実1験群は対照群に比較して有意に多かった (p<0.05) 。
以上の結果より, GBRにおいてe-PTFE膜を応用することは, 骨形成のためのスペースを確保し, 新生骨の成熟に必要な場を維持することが示唆された。