抄録
本実験の目的は歯周疾患の発症と進行に深く関与していると考えられているextracellular vesicles (ECV) が, 多形核白血球 (PMN) 機能に与える影響を検討することにある。すなわち歯周病関連細菌のひとつであるPorphyromonas gingivalis (P. gingiualis) からECVを調製し, ECVがPMNのスーパーオキシド産生, 貪食能および走化能に与える影響を調べた。またECVとPMNの相互作用を透過型電子顕微鏡を使用して調べた。P. gingiualis W50, W83, ATCC 33277の培養上清から硫安塩析法にてECVを調製した。P. gin-giualis W50 ECVをPMNに60分作用させると, 透過型電子顕微鏡観察より, PMNがECVを貪食している像が認められた。3種のECVをPMNに作用させた後, cytochromec還元法によるスーパーオキシド産生量の測定を行った。その結果, ECVは, PMNのスーパーオキシド産生に影響を与えなかったが, ECVで前処理後FMLP, PMAで刺激すると, PMNのスーパーオキシド産生を有意に抑制した。また3種のECVをPMNに60分作用させた結果, PMNの貧食能はECV処理で抑制する傾向を示し, またPMNの走化能も低下する傾向を示した。以上のことから, 歯肉溝や歯周組織中に遊走したPMNはP. gingiualis ECVによって影響を受け, スーパーオキシド産生, 貪食能および走化能が低下し, 歯周病の進行に深く関与している可能性が示唆された。