日本歯周病学会会誌
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歯周病原性細菌のリポ多糖体による破骨細胞形成機構の解析
下山 雅通辰巳 順一栗原 徳善
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1997 年 39 巻 3 号 p. 313-323

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抄録
リポ多糖体 (LPS) は, 歯周病の発症および歯槽骨の吸収に重要な働きをしている。この研究は, LPS刺激による破骨細胞前駆細胞内チロシンリン酸化反応および破骨細胞形成に及ぼす影響についてP. gingivalis LPSと大腸菌由来のLPSと比較検討した。破骨細胞の形成はヒト臍帯血由来のCFU-GMを用いた。両LPSとも10-100ng/mlの濃度で, 23C6 (CD-51) 陽性の多核細胞の形成が促進された。この多核細胞の形成は, 抗IL-1抗体の添加により抑制された。また, 骨吸収は, 歯周病原性細菌由来のLPSは, 大腸菌由来のLPSに比べて1.4倍の吸収活性を示した。この吸収は, 抗src抗体の添加で抑制された。ウェスタンブロッティング法によりLPS刺激による破骨細胞前駆細胞チロシンリン酸化を検討すると, 歯周病原性細菌由来のLPSにより42-kDaの基質蛋白の存在が確認できた。さらにLPSによる破骨細胞形成系にherbimycin Aを添加しても破骨細胞の形成は抑制されなかった。以上の結果より, LPSはヒト破骨細胞前駆細胞の増殖・分化を促進し, その機序は, CFU-GM系の破骨細胞前駆細胞がIL-1を産生し, オートクラインに働き破骨細胞の形成を促進するとともに, その刺激伝達に特異的にチロシンリン酸化される2, 3の基質蛋白の関与が考えられた。また, LPSによる破骨細胞の形成には, c-srcの関与のないことも明らかになった。
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