抄録
重度歯周炎罹患歯に歯周組織を再生させる新しい治療法の開発を目指し, 抜去歯に残存する歯根膜をin vitroで培養し, ルートプレーニングした露出根面への歯根膜細胞の遊走増殖を経時的に観察し検討した。成ネコ7頭の犬歯を抜去し, 歯根中央にノッチを付与して根尖側1/2の歯根膜を保存し, 歯冠側を露出根面 (5.3±1.4mm) とした30試験片を作製した。in vitroで0, 2, 4, 6週間培養し, 歯根膜由来細胞の観察と細胞遊走距離の計測を行った。その結果, 細胞遊走距離は2週では0.8±0.2mmだったが, 4週ではノッチを大さく越えて露出根面へ遊走し4.6±1.9mmとなり, ノッチ付近では細胞密度が高く, 歯冠側へ向かって細胞密度が低くなっていた。6週では5.2±1.4mmとなり露出根面全体をほぼ被覆し, 細胞密度の高い部分が拡大していた。残存歯根膜では表層の細胞が経時的に増加し, 歯根膜内部の細胞は減少していた。アルカリフォスファターゼは, 6週で残存歯根膜全面および露出根面に増殖した細胞のうちノッチから約2mmの部位に認められた。増殖核抗原陽性細胞は残存歯根膜の表面と, 露出根面に増殖した歯根膜由来細胞の最表層全面に認められた。これらの結果, 抜去歯に残存する歯根膜をin vitroで培養すると, 歯根膜由来細胞は露出根面へ遊走増殖して根面を被覆し, 歯根膜細胞の特性を維持している可能性が高いことが示唆された。