日本歯周病学会会誌
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ペーパーストリップスによる初回と2回目のGCF採取での硫酸化グリコサミノグリカンの比較
川畑 仁克浅野 なみ子牧 克教岩永 寛司石原 常男川井 甲午郎長澤 信岳白木 雅文岩山 幸雄
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1999 年 41 巻 2 号 p. 188-194

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抄録

歯肉溝滲出液成分を用いた診断をさらに発展させるためには液採取法についての共通の了解が必要である。液採取時間や採取回数は極めて重要であるが, 現在, 特に頻回採取についてコンセンサスが得られていない。本研究の目的は歯肉溝滲出液の硫酸化グリコサミノグリカンの測定に際して採取初回と2回目以降のサンプルのどちらが良いかを評価するために行った。健康, 歯肉炎, 成人性歯周炎の歯192本から30秒間, 2回滲出液をペーパーストリップスで採取した。採取後, ストリップスを0.05M塩化マグネシウム, 0.4Mグアニジン塩酸, 0.02M硫酸, 0.25%トライトンX-100を含むpH1.5に調整した0.2%アルシアンブルー溶液で染色し, クロマトスキャナーで分析した。2回目の試料より初回試料に含まれる硫酸化グリコサミノグリカンが多いものは, 81部位 (47.9%) であるのに対し, その逆は37部位 (21.9%) であった。2回目試料が初回試料より多く硫酸化グリコサミノグリカンを含有する比は歯肉炎スコアならびにプロービング深さが大きくなるに従って増加した。in vitroの実験においてペーパーストリップスは液量が過多に存在するときには全ての液を吸い上げが困難であることが分かった。本研究の結果から歯肉溝滲出液の硫酸化グリコサミノグリカン測定のためには2回目試料より初回試料を用いる方が望ましい'と思われる。

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