物理教育
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モアレ縞の波動への応用(III) : 反射
松林 勉
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1980 年 28 巻 2 号 p. 45-51

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抄録

動くモアレ縞を使って,平面波が斜に平らな反射面に入射する場合を二通りの方法で取扱った.単なるデモンストレーションではなく,定量的にも正しくなるように工夫した.方法-1^<1)>では入射角90°-θで平面波が平らな反射面に入射する場合,反射波が反射の法則を満足するように,モアレ縞を利用して動的に説明した.ピッチがαで反射面とθの角度をなし.互いに交差させたものを移動マンセンとする.一方,ピッチがα_コ´(=αCOSθ´),反射面とθ_コ(=θ+θ´)の角度をなすものを入射波用の固定マンセンとし,同じピッチで角度がθ_コ´(=θ-θ´)の角度をなすものを反射波用の固定マンセンとして,互に交差させたものを入射波と反射波の波面を同時に表わすための固定マンセンとする.この固定マンセンの上に移動マンセンを重ねると,波長λ(=α/tanθ´),入(反)射角90°-θの入(反)射波の波面をモアレ縞で観察できる.さらに,移動マンセンを真下に速さvyで動かすと,入(反)射波の波面は位相速度v(=vycosθcotθ´)で移動し動的に観察できる.自由端,固定端の区別は移動マンセンを右(または左)にα・cosecθ/4だけ反射面に沿って平行移動させて行った.次に方法-2では,同じピッチα(=1mm)で移動マンセン,固定マンセンを製作した.これはマンセン製作上,好都合である.すなわち,ピッチα(=1mm)で反射面とθ(θ-θ´)の角度をなし互いに交差させたものを,入射波と反射波の波面を同時に表わすための移動マンセン(固定マンセン)とする.この固定マンセンの上に移動マンセンを重ねると,波長λ=α/2cosecθ´/2,入(反)射角90°-θ+θ´+θ´/2の波面をモアレ縞で観察できる.さらに,移動マンセンを真横に早さvxで動かすと,入(反)射波の波面は位相速度v=vx/2sinθcosceθ´/2の波面をモアレ縞で観察できる.自由端,固定端の区別は移動マンセンを下(または上)にαsecθ/4だけ平行移動するとできる.方法-2が方法-1と違う点は両マンセンをいずれも同じピッチα(=1mm)のものを使用し,移動マンセンを真横に動かした点である.方法-2で使用したマンセンのピッチが方法-1のそれより小さいため,波面は方法-2の方が明瞭に観察される.

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© 1980 日本物理教育学会
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