物理教育
Online ISSN : 2432-1028
Print ISSN : 0385-6992
ISSN-L : 0385-6992
軸外しフレネルゾーンプ.レートによる像形成法
板屋 源清
著者情報
ジャーナル フリー

1981 年 29 巻 2 号 p. 74-80

詳細
抄録

ピンホールカメラや普通の光学カメラは,開口として,それぞれピンホールや光学レンズを利用して,検出面上(印画紙,フィルム)にできる実像を撮影している.これら,ピンホールや光学レンズ開口の代わりに,フレネルゾーンプレート(EZP)を使用すると,無数のEZPの影が重なった像が検出面上にできる.これをシャドウホログラムといっている.この方法は,物体の信号光(波面)と参照光(波面)を,乾板またはフィルム上に記録するホログラムとは完全に異質である.このシャドウホログラムを撮影し,単色平行光を照射すると,再生像が得られる.このように,検出面上に物体像ができなくて,シャドウホログラムを形成させるような開口は符号化開口といわれる.軸外しFZPは符号化開口の一つである.軸上FZP開口を使用すると,再生時に直流光と像成分が重なる.そのため直流光を除去し難い.軸外しFZPを使用すると,その性質上,直流光と信号(像)成分が分離して再生される.つまり再生像が見易い.著者は,実験に耐え得る軸外しFZPを開発した.また実験を容易にするため,シャドウホログラム撮影装置(FZPカメラ)を製作した.本報では,これらの構造と,物体とそのホログラム並びに再生像等を示して,像形成法の基本問題について検討した.また,この方法は,物体の符号化と再生法が理解し易い.しかも簡単な器具で,一回3〜4時聞の学生実験,高校のクラブ活動に導入し易い.

著者関連情報
© 1981 日本物理教育学会
前の記事 次の記事
feedback
Top