抄録
電気回路-オームの法則-の取り扱い(学習)に絞り,ドイツの物理教科書Impulse Physikから,多様な授業実践への可能性を探ってきた。素朴なチェーンモデルや水流モデルなどの複数のモデルを扱うこと,オームの法則が温度一定のもとで成り立つという前提を無視しないこと,左手の規則や3本指の規則で電子の動きに着目した覚え方をさせることなど,特徴ある授業実践が可能であることが明らかにできた。このような前期中等における実践は,後期中等で物理を学ばないとしても,現実味のある内容を一度で確実に,徹底的に学ぶというあり方を反映しているものである。