"9歳の壁"という言葉をご存知だろうか。これまで筆者らは,子どもの理科離れ・物理嫌いを解決しようと研究してきた。その調査の中で発見したことの一つに「理科に対する好嫌が分かれる年齢の見えない障壁が存在するのではないか」ということである。今回調査を日本だけでなく米国にまで範囲を広げ,さらに,小学生だけでなく高校生にも行い年代比較もした。その結果,理科に興味を持つ年齢は9歳前後(小学校中学年)が多いことが分かった。そして,その時期に学力が追いつかず理科を嫌いになる子どもは,生涯嫌いのままでいるという事実も浮き彫りになった。以下,理科・物理における"9歳の壁"があると想定するに至った経緯を紹介する。