ペストロジー
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Print ISSN : 1880-3415
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東京都内の29小中学校の環境アレルゲンとしてのダニ数およびアレルゲン調査(続報)
元木 貢佐々木 健楠木 浩文高岡 正敏橋本 知幸
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2011 年 26 巻 1 号 p. 1-6

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抄録

学校におけるダニ数およびDer 1アレルゲン量を調べた.いずれの箇所でも総ダニ数に占めるチリダニ類の割合が圧倒的に高かった.文部科学省基準の衛生基準にあるダニ数100匹/m2を超えたサンプル数は,カーペットの4校5カ所(2%)であった.また,1 m2当たりの平均総ダニ数を見ると,カーペット>畳>寝具>板敷きの順,平均Der 1量は,カーペット87 ng/m2>畳71ng/m2>寝具34 ng/m2>板敷き23 ng/m2の順であった.同衛生基準にあるダニ数100匹/m2に相当するダニアレルゲン量(Der 1)は,寝具および床材によって異なり,カーペット353 ng,板敷き546 ng,寝具711 ng,100匹/gに相当するダニアレルゲン量(Der 1)は,カーペット535 ng,板敷き354 ng,寝具642 ngで,カーペットでは,面積当りで示されるDer 1量は塵重量当りで示される量の70%であったが,板敷き,寝具では逆に150%,110%となった.一方,WHOの感作の閾値(100匹/g)を越えたのは全体では26校73ヵ所(31%:寝具39,カーペット18,板敷き13,畳3),急性喘息発作の閾値(500匹/g)を越えたのは15校26カ所(11%:寝具16,カーペット8,畳1,板敷き1)で,文部科学省の基準はWHOの基準に比較すると,2004年の調査結果と同様に大幅に緩い値であった.面積当りではアレルゲン総量や環境中のアレルゲン量を反映するという利点もあるが,掃除機の性能や採塵時間,採塵者,素材によってばらつきが出る.今後,国際基準に適合させるなど,文部科学省の基準の見直しが必要であろう.

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© 2011 日本ペストロジー学会
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