抄録
トコジラミの多数生息するアパートで,形状と素材の異なる2種類のトラップを用いた捕獲調査を行い,トラップの違いによる捕獲数を検討した.紙製トラップは開口部が狭く傾斜があり,ポリプロピレン(PP)製トラップは開口部が広く傾斜がなかった.2種類のトラップを部屋の4隅にそれぞれ一組みとして,合計8個を同時に設置した.紙トラップに捕獲されたトコジラミの総個体数は151個体であり,幼虫は100個体,成虫は51個体であった.一方,PPトラップに捕獲されたトコジラミの総個体数は279個体であり,幼虫は227個体,成虫は52個体であった.いずれのトラップにおいても幼虫の割合が高かった.PPトラップでは幼虫と成虫との捕獲数に有意な差があった.捕獲個体数をトラップ1 m2,1日当たりに換算し,統計解析を行った結果,PPトラップの平均捕獲数は設置地点間で有意な差があった.本調査の結果から,いずれのトラップでもトコジラミを捕獲することが可能であり,特に幼虫が高頻度で捕獲されることが明らかとなった.