チャマダラメイガとノシメマダラメイガは近紫外線に誘引されることが報告されているものの,両種は既製のライトトラップではほとんど捕獲できない.両種が光に誘引される習性を有しながら,ライトトラップで捕獲できない要因を解明するために,光源の特性(放射照度,発光面の制限)が誘引性に及ぼす影響を調べた.BL蛍光管を光源とする既製のライトトラップと光源を紫外線LEDに換装したトラップを用いて捕虫試験を実施した結果,両種とも既製のライトトラップにほとんど捕獲されなかった一方,LEDでは捕獲された.LEDによる捕虫数は,放射照度10-2 W/m2(中心軸から15 cm地点の測定値)において最も多くなり,それ以上放射照度が強くなると減少した.また,BLは,発光面を制限することにより,チャマダラメイガに対して誘引性を示した.すなわち,両種は比較的弱い紫外線に誘引される一方,強い紫外線に誘引が阻害されることが示唆された.つまり既製のライトトラップに捕獲されない要因としてはBLが捕虫を妨げる強い紫外線を広範囲に照射することにあると考えられる.今回の試験から,光に反応した虫が捕獲部に至るまでの経路で強い紫外線に暴露されないように放射照度を最適化する,あるいは配光を制御することにより,チャマダラメイガとノシメマダラメイガをライトトラップで捕獲できることが明らかになった.