富山県の立山山麓でクサギとスコットの越冬飛来の観察を1995年から行っている.前報では,越冬に飛来するカメムシ類とそれらの種構成について報告したが,本報では,富山県において問題になるクサギとスコットの壁飛来数および潜み数の年変化,さらには補正壁飛来数と潜み数を用いた補正総合飛来数の年変化について報告した.
「風土記の丘」の6棟におけるクサギ壁飛来数には明らかに年変化がみられ,飛来が多い年と少ない年がみられた.さらに,A棟における壁飛来数と潜み数には弱い相関が(r=0.48308),C棟では強い相関がみられ(0.75627),両棟共に年変化が確認された.補正壁飛来数と潜み数から求めた補正総合飛来数の年変化はA棟とC棟で良く一致した.また,これら両棟の補正総合飛来数の年変化は「風土記の丘」6棟の壁飛来数の年変化ともほぼ一致した.
「家族旅行村」のG棟とH棟におけるスコットの壁飛来数と潜み数の相関は強くなかった(G棟;r=0.56342,H棟;r=0.33894).また,補正壁飛来数と潜み数から求めたG棟とH棟の補正総合飛来数も相関は弱い(r=0.56516).
平均補正総合飛来数401頭以上を飛来の多数年,200頭以下を少数年にすると,「風土記丘」のクサギの多数年は1997,2000〜01,2002,2005,2011,2017〜19年になり,少数年は1999,2007〜09,2013〜14,2015〜16年になった.「家族旅行村」のスコットの多数年は1995〜96,2000〜01,2005年になり,少数年は1999,2002〜04,2007,2009〜10,2012〜13,2015〜19年になった.
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