2017 年 13 巻 p. 177-197
1990年代のスイス財政は債務残高増加のなかで緊縮路線・新自由主義路線を基調としていた。同時期の欧州では地方政府の実質負担増がみられるが,90年代に議論されたスイスの財政調整制度改革(NFA)は,最終的にむしろ財源力の弱い州からの支持を集めて成立した。この政治的過程について連邦・州間の合意形成に焦点を当て,制度・歴史・政治的考察を図ることで,当初の目標から部分的に乖離しながら政治的妥協と協調が前景化する過程を追跡し,なぜ極端な地方政府の弱体化を避けることができたのかを明らかにする。