本稿は,1982年のワセナール合意を契機とする「オランダモデル」による経済回復において,財政制度がどのように変化し,どのように「成功」に寄与したのか,財政の視点から再検討するものである。政労使の政策協調による雇用政策として知られるオランダモデルに対し,財政再建が課題であったルベルス政権,コック政権の2つの政権がいかなる財政改革を行ったのか,制度の視点から明らかにした。その結果,両政権の財政再建策の手法は異なるものであったが,その後の経済回復への貢献は大きいものであった。またオランダモデルとして理解される新たな雇用制度が単独で機能したというわけではなく,政府による抜本的な財政改革によって実現したと理解されるべきものであった。