財政研究
Online ISSN : 2436-3421
研究論文
三大都市圏における社会資本整備の経済効率性からみた評価
中村 悦広中東 雅樹
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2013 年 9 巻 p. 302-319

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抄録

 本稿では,近年削減の方向で進められてきた社会資本整備が,三大都市圏において地域経済や地域住民の経済厚生にいかなる影響を及ぼしてきたかを分析する。具体的には,首都圏,名古屋圏,関西圏を対象に,市町村別・分野別の社会資本ストックデータを構築したうえで,Roback(1982)の理論モデルに基づいて,1995年度と2005年度の2時点の市町村クロスセクション・データによる社会資本の経済効果をふまえた都市圏の公共投資のあり方を検討した。本稿の分析から得られた主な結論として,道路や都市公園といった生活基盤型社会資本は,すべての圏域で生産力効果と厚生効果があることが示された。他方で,名古屋圏と関西圏で,経済効率的に配置されていない社会資本が存在し,とくに関西圏は,そうした社会資本が多く存在することが明らかになった。

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© 2013 日本財政学会
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