静脈学
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原著
慢性血栓塞栓性肺高血圧症の確定診断と手術適応決定における血管内イメージング法の有用性
岡野 嘉明佐藤 徹永谷 憲歳安藤 太三高宮 誠由谷 親夫国枝 武義高本 眞一一山 智
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2000 年 11 巻 1 号 p. 45-54

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抄録

慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)の診断能力と治療成績を向上させることを目的として,連続25例の血管内イメージング所見を検討し以下の知見を得た.(1)CTEPHにおける器質化血栓と変性した内膜は,血管内視鏡では白色調で光沢を帯び,血管内腔の輪郭構造に著明な変形が認められた.血管内超育波(IVUS)では輝度の高い器質化血栓と肥厚した内膜が一塊として描出され,その外側に中膜相当の低輝度な層,さらに高輝度の外膜と血管の3層構造が明瞭に認められた.(2)これらの所見が肺動脈近位部で両側性に認められた18例中10例に手術を実施し全例成功した.内中膜複合体厚が1.0mmを超えた症例では摘除が特に良好であった.(3)画像所見から25例中7例(原発性肺高血圧症5例,腫瘍,血管炎各1例)をCTEPHから除外し得た.血管内イメージング法はCTEPHの手術成功を予知できるばかりでなく,CTEPHと類似した疾患を正しい診断に導くことも可能であり有用性が高いと考えられた.

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