静脈学
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原著
深部静脈血栓症の検討――無症候性肺塞栓症の合併頻度と予後―
ピアス 洋子林田 直樹村山 博和松尾 浩三浅野 宗一大橋 幸雄黄野 皓木半田 武巳龍野 勝彦増田 政久中島 伸之
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2001 年 12 巻 3 号 p. 283-287

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抄録

深部静脈血栓症(DVT)は肺塞栓症(PE)の血栓源となる可能性が高い.過去3年で発症4週間以内の上下肢のDVT17例19肢(男7,女10,平均年齢59歳)に,危険因子,免疫血清と凝固系の検在,また早期に肺血流シンチグラム(TcM99m-MAA)を施行しPEの合併の有無を検討した.肺シンチ陽性例では治療6ヵ月後に再検査を施行しPEの予後を検討した.発症1週間以内のDVT,または症状が増悪した場合は線溶療法と経口抗凝固薬,発症1週間以降であれば,経口抗凝固薬または抗血小板薬を投与した.肺血流シンチグラムを施行した13例中7例(53.4%)に無症候性PEが認められた.6ヵ月後では,対側のDVTの血栓除去を施行している1例を除き全例で欠損の消失を認めた. DVTに合併する無症候性PEの頻度は多いが,保存的療法でかなりの症例が軽快すると考えられ一時留置型下大静脈フィルターの適応は限られるのではないかと思われた.

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