静脈学
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プラクティカル フレボロジー
Duplex Scan Oriented Venous Ligations Techniqueと不全穿通枝の処理
坂田 雅宏
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ジャーナル オープンアクセス

2002 年 13 巻 4 号 p. 285-290

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抄録

1次性下肢静脈瘤の低侵襲な外来手術であるduplex scan oriented venous ligationsの,実際について述べた.静脈逆流を生じる部位として,大伏在静脈-大腿静脈移行部(sapheno femoral junction.SFJ),小伏在静脈-膝窩静脈移行(saphenopopuliteal junction.SPJ)とDodd,Boyd,Cockettに代表される不全穿通枝がある.下肢静脈瘤の外来治療では,原因となる静脈逆流を効率良く判定し静脈結紮で止めることが重要である.まず,視診触診により静脈瘤のtypeと穿通枝のおおよその位置を把握したのち,duplex scanを用いて詳細に検査を行い,SPJ,SFJ,伏在静脈の逆流や瘤化と,不全穿通枝を調べpin-pointで静脈結紮部位を決定する.静脈結紮は,duplex scanで決定した部位を1cm前後の小切開にて局所麻酔下で行う.不全穿通枝は1肢当たり1~2本であることが多く,自験例の大伏在静脈型1108肢では平均1.2±1.1本であった.不全穿通枝の結紮は,主にDodd,Boyd,Cockettに代表されるような,直接深部静脈と交通する穿通枝に対して行っている.これらの検査や処置をsystem化し効率良く外来治療で行うことができる.下肢静脈瘤のどの術式も根治術ではなく姑息的な手術であることより,いかにうまく下肢静脈瘤をコントロールしていくかが重要と考える.

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