平成12年1月から3年6ヶ月の間に当院を受診した男性静脈瘤患者108人を同時期の女性静脈瘤患者450人と比較検討した.男性患者は,全体の19.4%と疫学調査における男女差よりも低率であったが,静脈瘤タイプの検討では男女間に差を認めなかった.男性患者は,女性患者と比較して,発症年齢には差を認めなかったが,病悩期間が短く(男性11.2±10.2年vs女性18.2±10.2年,p<0.001),発症時年齢は高かった(45.3±14.5歳vs 37.6±13.0歳,p<0.001).病悩期間が短いにもかかわらず,男性は女性と比較し静脈還流障害は高度であり(筋ポンプ脈波法による1/2再充満時間,5.2±3.1秒vs 6.6±4.6秒,p<0.05),皮膚症状・緊急症例の合併率が高く(46.7% vs 19.9%,p<0.001),ストリッピング手術をうける比率が高かった(18.5% vs 6.0%,p<0.001).さらに年代別にみてみると特に40歳以上60歳未満の男性では,40歳未満あるいは60歳以上の男性と比較して高度な静脈還流障害を示し(1/2再充満時間,4.7±2.5秒vs 7.2 ±4.3秒,5.3 ±3.5秒),ストリッピングをうける症例が多い(27.1% vs 12.5%,11.4%)という特徴が観察された.