2007 年 18 巻 3 号 p. 163-167
【目的】急性肺塞栓症(APE)患者での深部静脈血栓症(DVT)診断の現状把握により,DVT診断の間題点を明らかにすること.【方法と結果】肺塞栓症研究会(JaSPER)作業部会が実施した3回の肺塞栓症症例登録を比較した.2004年に実施した肺塞栓症全国アンケート調査で報告された症例も対象とした.JaSPER症例ではDVT検索率(第1回登録60.8%,第2回65.4%,第3同84.3%)および検索例でのDVT発見率は次第に上昇している.しかし,2004年全国調査での全APE症例中でのDVT発見率はわずか29.8%であった.静脈造影,RI venographyの使用頻度は次第に減少している.一方,下肢静脈エコーは次第に上昇している.また,CTは第3回JaSPERでは30.2%に用いられていた.【結語】JaSPER参加施設に限定すればDVT検索率は向上している.しかし,全国的にはDVT発見率は未だに低い.診断法は近年変化してきている.