静脈学
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症例
産褥期右卵巣静脈血栓症の1例
佐伯 宗弘浜崎 尚文
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ジャーナル オープンアクセス

2007 年 18 巻 3 号 p. 175-178

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抄録

症例は30歳の女性である.妊娠中経過は正常で2006年5月下旬妊娠39週5日にて第2子を自然分娩した.産褥3日目より発熱,右下腹部痛が出現し虫垂炎を疑われ5月末に腹部造影CTを施行されたところ右卵巣静脈血栓症を指摘され,同日当科に紹介となった. CTにて血栓の先端が下大静脈(IVC)内に突出している可能性が考えられたこと,また,右卵巣静脈は直接IVCに鋭角で合流する解剖的特徴より,血栓遊離による肺塞栓血栓症を引き起こす危険が高いと判断し,同日,緊急に一時型IVCフィルターを腎静脈合流部の上部に留置し,抗凝固療法を開始した.留置7日目に捕捉血栓のないことを確認しフィルターを抜去した.その後の経過は良好で現在ワーファリン内服中である.

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