静脈学
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総説
静脈疾患(肺塞栓を含む)に対する血管造影法
小泉 淳橋本 毅明神 和紀折井 正博西部 俊哉
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2010 年 21 巻 1 号 p. 17-27

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抄録

下肢静脈疾患に対し,足背静脈からの駆血下の上行性下肢静脈造影により深部静脈血栓症(DVT)や静脈瘤の原因となる不全交通枝が,またその後の足踏み運動により伏在静脈などからの表在静脈瘤への逆流や深部静脈弁不全も判明する.しかしながら複雑な重なり合いから不全交通枝の同定は時に困難であり,被曝,造影剤の腎毒性・抗原性,迷走神経反射などは侵襲的である.一方SSFP法によるMRIでは,造影剤を使用することなく全血管像を描出可能である.DTI法ではDVTのagingが可能であり,少量のGd製剤静注により陰影欠損・血管閉塞像として血栓を検出でき,壁在血栓・口峡不整や側副路形成所見の描出から血栓後遺症の診断も可能となりつつある.肺血栓塞栓症に関しては急性期患者管理がMRIでは難しく,DVTや鑑別診断も併せて迅速に診断可能なCTの有用性が高い.肺動脈・下肢静脈造影は血管内治療の手段として応用されつつある.

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