静脈学
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総説
剖検で検討した内頸静脈径と内頸静脈弁の形態の個体差
古川 智之高谷 亜加里中川 季子坂口 生夫西 克治
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2011 年 22 巻 1 号 p. 47-52

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抄録

中心静脈カテーテルの挿入を目的とした右内頸静脈穿刺に関する報告は古くよりなされており,超音波診断装置を用いた走行や径についても数多く報告されている.今回左右の内頸静脈の血管径を剖検時30例について測定し検討した.左右の内頸静脈径については剖検で検討した結果,右側が優位であった.径の左右差から内頸静脈穿刺は右側からのアプローチが成功率は高いと思われるが,左側優位の例も10%存在した.次に,内頸静脈弁について40例検討した.逆流防止としての静脈弁は内頸静脈にも存在し,その存在率は高い.また弁尖数は個人によって異なり1~3尖,あるいは存在しないものもあったが,70.5%は2尖弁であった.内頸静脈には一般的に静脈弁が存在し,内頸静脈弁はどの程度役割を果たしているか,また中心静脈カテーテル留置の際内頸静脈弁がどの程度障害され血流動態に影響を及ぼしているかについて今後評価する必要がある.

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