下腿部本幹硬化療法を併用した大腿ストリッピング手術の治療成績,手術前後の静脈機能を検討したので報告する.2003年7月から2007年3月までに手術を行った伏在型下肢静脈瘤患者82例,104肢を対象とした.空気容積脈波法にて術前,術後1,6,12および24カ月のvenous filling index(VFI),venous volume(VV),residual volume function(RVF)を測定し,静脈機能を検討した.また本術式(A群),大腿ストリッピング術+不全穿通枝結紮術(B群),全長ストリッピング術(C群)について術後1,6,12カ月のVFI,VV,RVFを測定し,比較検討した.本術式の104例で,VFI(ml/sec),VV(ml),RVF(%)の術前値は6.7±3.2,122.7±36.8,58.1±16.3,術後1カ月では1.5±0.8,87±23.4,41.7±15.3,術後12カ月では1.9±1.8,89.8±29.6,39.9±11.9および術後24カ月は1.2±0.8,83.9±26.2,37.6±13であった.術後24カ月目までのVFI,VV,RVF値は術前と比較して有意に低値であった.術式別の術後12カ月のVFI,VV,RVFはA群1.9±1.8,89.8±29.6,39.9±11.9,B群1.2±0.6,77.1±24.3,38.8±18.0,C群2.0±0.7,101.0±28.4,38.9±24.8であり,各群間に有意差はなかった.伏在型下肢静脈瘤に対する下腿部本幹硬化療法を併用した大腿ストリッピング手術は重大な合併症なく,術後2年までの治療成績,静脈機能は良好であった.本術式はより低侵襲で,大腿ストリッピング術+不全穿通枝結紮術あるいは全長ストリッピング術と同等の静脈機能の改善が得られた.
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