静脈学
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総説
弾性ストッキングの現状とエビデンス:下肢静脈瘤における弾性ストッキングの治療効果と弾性ストッキングコンダクターの役割
杉山 悟
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ジャーナル オープンアクセス

2012 年 23 巻 3 号 p. 221-226

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抄録
●要  約:下肢静脈瘤患者では下肢静脈圧が上昇しており,その治療において圧迫療法が欠かせない.今回,弾性ストッキング・コンダクター養成委員会からの特別企画の一環として,空気脈波検査を用いて下肢静脈瘤の治療における弾性ストッキングの有用性を検証した.下肢静脈瘤患者のvenous filling index(VFI)は,弾性ストッキングの着用により術前平均値7.8 ml/secから5.6 ml/secとなり,正常化するには至らないが全例で有意に低下した(p<0.05).また健康な看護師を対象に行った検査で,40歳以上の群では40歳未満の群よりVFIが有意に高値であった(p<0.05)が,VFIが1.0 ml/sec以上の被験者に弾性ストッキングを着用させてVFIを再測定したところ全例で低下し,平均値は1.0 ml/sec以下となった.その結果,弾性ストッキングは下肢静脈瘤の患者の静脈機能を改善することが確認され,また,立ち仕事の健常者に対しても有用である可能性が示唆された.実際の臨床場面では弾性ストッキング着用に関するトラブルも多く,弾性ストッキングコンダクターはその指導を通じて,下肢静脈瘤治療のアドバイザーとして大きな役割を果たしていると考える.
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